「Eastein」と「郷愁のピアノ」

日立を昼に出発し水戸に立ち寄る。江藤の体調は今ひとつで知り合いのお医者さんの所に点滴をしてもらいに行くためだ。水戸の石田病院には「自由が丘スタジオ」というライブスペースがあるのだが、僕は残念ながら行ったことはない。点滴を待つ間にまん前にあったピアノ屋さんにふらっと入ってみる。「平山ピアノ」というお店でなかなか良い楽器が揃っている。店員さんもとても良い感じで気軽に見て回れた。敷居高いところもあるもんなあ!木目ケースの古いBechsteinのグランドはこれまで弾いた中でも一番良かったかもしれない。売約済みだったが!一番良かったのが1914年製のSteinway K型アップライトだ。前の板が透かし彫りのようになっていて布が張られている。昔のステレオのスピーカーみたいだ。タッチもしっかりしているし、音も深く力強い!おもわず欲しくなってしまった。いかんいかん!
しかしここでまた素晴らしい楽器とめぐり合ってしまったのだ!初めて聞くメーカー「Eastein」。なんと栃木は宇都宮で造られていた国産ピアノだ!
ここの社長さんはイースタインで修行された職人さんだということだった。なんと創始者は2.26事件で狙われた当時の首相岡田啓介の秘書官松尾伝蔵氏の長男新一氏、という戦後の混乱期に政界にいた方々が平和に貢献する為にピアノ製造を始めたという聞きなれない歴史を持つ会社だ。
詳しくは「郷愁のピアノ」(早川茂樹著 随想舎)を参照されたい。
とにかく、目から鱗が落ちた。そりゃあ世界最高峰のピアノ達に比べれば多少見劣りするかもだが、何気なく弾いてビックリしてしまった!なんと気品のある力強い音だろう!?ほとんどドイツ製?と思わせる重厚かつしなやかな音。以前弾いた「大橋ピアノ」とはちょっと違うが同じような素晴らしさだ。またまた欲しくなってしまった。いかんいかん!国産ピアノでも情熱をかけて造られた素晴らしい芸術品のピアノがあるということをまたまた知ってしまった。

後ろ髪を引かれつつ石井俵山江藤3人は一路鹿島へと向かう。今日になって天気も回復し太平洋もとてもきれいで心が洗われる。今日のライブは「スクラッチ」。長い歴史を持つ老舗だ。広くない店内だがお客さんとの一体感が味わえてとても盛り上がったツアー最終日でした!

投稿者 石井彰 : 23:00 | その他

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