時は1999年まで遡る。
East Works Entertainment 通称EWEとかイーストワークスと呼ばれるインディーズのレコードレーベル会社があった。メジャーのレコード会社に対してそう呼ばれる時代だった。
“1995年に発足した日本のインディペンデント系レコードレーベルです。ジャズ、ワールドミュージック、アヴァンギャルドなど、独創的な音楽作品を精力的にリリースし、2015年に破産手続きを開始したものの、そのカタログは現在も高く評価されています。 “
調べるとこう出てくる。当時のかなりコアな日本ジャズ界の流れで、かなり攻めたラインナップが見られた。今でもファンは多いと思う。
1998年、日野元彦(ds)さんは若手を育てようというムーブメントの中心にいて活動をなさっていた。日野皓正バンドに参加したことから、トコさんの新しいクインテットに加入することになった。川嶋哲朗(ts)山田穣(as)安カ川大樹(b)ととも結成され、レコーディングがEWEで行われたのだった。
『Club TOKO 』というシリーズのVol.2『Double Chant』というタイトル。これは僕の書いたオリジナル曲がタイトルになったということで大変に光栄なことだった。
このクインテットはトコさんの病気のため活動期間は1年にも満たないまま終わったのだった。日野元彦さんは1999年5月に亡くなり、『Double Chant』が遺作となってしまったのだ。
このClub TOKOの流れは続けるべきだというEWE社長の守崎幸夫氏の英断の元、日野兄弟に縁のあるミュージシャンはEWEで個々に制作を続けていくことになる。
こうして2001年に僕の初リーダー作が作られることになった。
2004年までの間に5作品をリリースできたことは自分の活動の中で大きな意味を持つことになったのだ。
EWEは2015年、残念なことに破産し、所属アーティストは発表する場を失った。
破産により原盤なども銀行に差し押さえられる前に、社長からアーティストそれぞれのリーダー作の原盤権を買い取ってくれないかというオファーを受け、僕は5作品の買取に応じた。段ボールに5個くらいのマスターテープ、ディスク、DAT、製品のCDを受け取り、その後お世話になることとなる「Studio TLive Records」の多田鏡子氏の助けを借り、CDの在庫一掃セールは成功し、マスターテープやDATマスターなどは手元に残ったのだった。
録音の方法は今ではPCソフトのPro Toolsを使いデジタルで録音し、エディットからミックスからマスタリングまで行うのが標準だが、当時は過渡期であり、デジタルで録音でありながら記録メディアはテープだったりディスクだったりと形あるものだった。
原盤買取で受け取った現物は、その時点でもはやメディアを扱えるハードが無くなり、単に場所を取るだけの物となってしまっていて、もったいないことだが数年後、ディスクのみ残し廃棄処分せざるを得なかった。
そして、手元に残った音源、ジャケットのデザインなどは、再発しようと思えばできたのだが、やはり自分にとって新しい作品を作っていくことが最優先なので、実質上のお蔵入りとなっていた。
昨年、自分のレーベル『Fenice Recordings』を立ち上げ、CDを3作品作ったが、こちらは配信無しのCD盤の販売のみとしているのは、やはり世代的なものなのか、形のないものだけでは寂しいし抵抗あるのだ。
しかし、現在のリスナーは自分も含めて配信を聴くことに慣れてしまっている。
家で時間がある時には、CDをかけたりターンテーブルにアナログレコードがのることだってある。しかし、大半の人はもはやCDプレーヤーさえ持っていないのだ。
音楽業界の衰退の話はここでは触れないが、そういう風潮に逆らうのは得策ではないと考えています。
そこで、Fenice Recordingsも音楽配信に参入しようと考えています。
そして手始めに自分が所有するEWEの5作品を配信することを決めたのです。
ふう〜長い前置きだった。。。
ということで、『Fence Records presents “EWE Years”』ということで、僕のリーダー作5作品をサブスクに入れました。
当時を振り返り、1作ごとに解説していこうと思ったわけです。どうぞお付き合いください。
僕の初リーダー作がこの『Voices In The Night』でした。
2001年のことですから遅いデビューアルバムでした。
当時自分のピアノトリオとして、俵山昌之(b)江藤良人(ds)という素晴らしいメンバーで2001年4月に音響ハウス2stで録音しました。エンジニアはずっとお世話になることになる広兼輝彦さん。
オリジナル2曲とIvan Linsの「Setembro」、Steve Swallowの「Ladies In Mercedes」、そして江藤良人、俵山昌之のオリジナルなどなど。冒頭に弾いた「Angel Eyes」が僕のバラードの表現の原点かもしれない。マイナー調で超スロー。
そして、本人に聴いてもらうことができ、その後何曲もカバーすることになるIvan Linsさんの作品は今でも愛してやまないのです。
そしてEWE第3作目にとうとう共演することができたSteve Swallowさん。「Ladies In Mercedes」を聴いて頂き、もう一度俺と一緒に演奏して録音しようと言ってくれたのに断って違う曲をやりましょう!と言ってしまった大馬鹿者の私。。。バカバカバカの大バカ者!!
色々な思い出がありすぎるファーストアルバムでした。
そして、惜しくもこの世から去ってしまった名ベーシスト俵山昌之。早すぎるよ。。。ずっと超安定した刺激的なBass Lineでインスパイアされ続けた。その後長い間盟友として共演することになった江藤良人。良いトリオだったなあ。
そして忘れちゃいけない内藤忠行さん。有名なフォトグラファーだ。このアルバムのジャケットを決める時、先生のスタジオに伺った。予めアルバムを聴いていただいて4枚の写真が用意されていた。「この中でどれにするべきだと思うか。これはテストだ。」といきなりプレッシャーをかけられたが冷静に考え、「これです。」と指差した。先生は一言「よし、合格。」とおっしゃった。そしてこの謎な写真のジャケットになり、それ以後の4作品は全て先生の独断で決めて頂いた。このことは大切な財産であり思い出だと思っている。
これらのアルバムはApple Music https://music.apple.com/・・・/%E7%9F%B3%E4%BA%95・・・/1884774728
Spotify https://open.spotify.com/・・・/artist/1BhugJVtCo80ijMRUv7RhK
などあらゆるプラットフォームでお聴きいただけます。お時間ある時にどうぞ。
<続く>







































